97話:モーツアルト晩年の最高傑作 [クラシック]


前回のマタイ受難曲に関連したお話で、今日はモーツアルトの逸話を一つご紹介します。モーツアルトは(1756-1791)オーストリア、ザルツブルグ出身、大バッハの息子クリスチィアン・バッハに小さい頃出会ったエピソードもあるのですが、今日は別のお話しです。

13歳の時、父親とローマで復活祭前週を過ごします。聖水曜日夕刻ミスティナ礼拝堂にて「ミゼーレ」を聴きます。絵画、ミケランジェロの「最後の審判」に光が当たり、荘厳な響きで始まりました。当時、法王つきの楽団員にも「ミゼーレ」(グレゴリオ・アレグリ作曲)の写譜は禁じていました。モーツアルトは何としてもその曲を知りたく「それならば暗記しよう」と思い立つのです。宿に帰り記憶をたどり書き写します。金曜日にまた同じ演奏会にもぐりこみ、自分の写し譜の訂正箇所を見つけたということです。

モーツアルト◇オペラ「魔笛」より 


モーツアルト晩年の最高傑作「魔笛」、1791年、最後に完成させたオペラです。病気が進行し、制作中に何度も失神しながら書き続け、モーツアルト自身もオペラの中では特に心こよなく愛する作品でした。公演中は容態が悪化し、最初の9.10回ほどしか指揮をふれなかったとの事。いよいよ衰弱状態になると劇場へ脚を運ぶことも出来なくなり、ベットの脇に懐中時計を置き、夢の中でオーケストラを追っているようだったそうです。

「さあ、第一幕が終わった」  「いま、あのアリアを歌っている」

シャガール◇魔笛

シャガール◇魔笛


「魔笛」の台本は興行主・俳優・歌手であるエマヌエル・シカネーダーが自分の一座のために書きました。シカネーダーは当時ヨーロッパ各地を巡業していたたび一座のオーナーで、モーツアルトとはザルツブルグ時代の知り合い、またお互いにフリーメイソンの会員でもありました。シカネーダーは当時仕事がなく生活に困っていたモーツアルトに大作を依頼したのがそもそも傑作を生み出す始まりです。

フリーメイソンの集会◇最前列右端がモーツアルトらしい・・

フリーメイソンの集会◇最前列右端がモーツアルトらしい・・


魔笛の成功の大きな要素にはおそらくコンスタンツェへの想いが自分の作品のために必要な情熱的なアリアのモチーフとして見出されたことだと言われています。
ウィーンで初演された時壮大な人気を博し、その年だけでも上演20回を越えたと言われています。

ストーリー:魔法の笛に導かれた王子タミーノが数々の試練を乗り越え夜の女王の娘パミーナを結ばれるというロマンスと、夜の世界を支配する女王が昼の世界を支配するザラストロに倒されるという話の二重構造です。

パパゲーノの軽快なアリア「おいらは鳥刺しパパゲーノ」、夜の女王が雷鳴と共に登場し歌う超絶技巧のアリア「恐れるな若者よ」「復習の心は地獄のように」などはこのオペラの最高の聴きどころともいえるのではないでしょうか。

モーツアルトが愛した音楽家:ボッケリーニ・ヘンデル

シャガール◇パパゲーノ

シャガール◇パパゲーノ



参考書籍:「モーツアルトの廻廊」 海老沢敏著 春秋社
       「モーツアルト」 スタンダール著 東京創元社



パパゲーノ&パパゲーナの二重奏 Pa pa pa pa Cecilia Bartoli & Bryn Terfel


パ・パ・パ・パ・パ・パ・パ、パパゲーナ
パ・パ・パ・パ・パ・パ・パ、パパゲーノ

パ・パ・パ・パ・パ・パ、パパゲーナ!(パパゲーノ!)

きみってすっかりボクのもの?
あたしすっかりキミのもの
ぼくのおヨメになるのかい!?
あたしの心の鳩になれ!

なんてうれしいことだろか。 神さまたちのご配慮で、愛する二人が授かれば。かわいいちっちゃな赤ちゃんを

まずは、ちっちゃなパパゲーノ。
おつぎ、ちっちゃなパパゲーナ。
そのあとまたも、パパゲーノ。
つぎもまたまた、パパゲーナ。

想いがはちきれ、あふれそう。いっぱい、いっぱい、いっぱいの パパパ・パパパパ、パパゲーノ、パパパ・パパパパ、パパゲーナ、 愉快なぼくらに産まれれば。
ちっちゃな子どもに取り巻かれ、 おなじ喜び分かち合い、おなじ姿にほほえんで。幸せなんて これよりも、大きなものがあるだろか?



[るんるん] kumikopiano インフォメーション [るんるん]

今日の1曲◇モーツアルト:幻想曲二短調 ピアノ:本間くみ子 録音スタジオ:ソフィアザールサロン yutubeに現在私自身の演奏を56曲アップしています 音楽と絵画の部屋 新エッセイです Chapter 2. ドヴォルザーク「自問の時期」


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