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111話:別名はドン・ジュアン [オペラ]

モーツアルト、ウィーン時代最後の作品からもう一つご紹介します。
歌劇「ドン・ジョバンニ」です。

歌劇「フィガロの結婚」が1786年12月、プラハ(チェコ)で上演され大好評を博したことより 翌年1月8日から1ヶ月程モーツアルトは劇場関係者よりプラハに招聘されました。1月27日はモーツアルトの31歳の誕生日であり、彼にとってこのプラハ滞在(招待)は最高の誕生プレゼントとなったのではないでしょうか。また、この時台本作者のダ・ポンテも同行していました。そして、プラハ滞在中のモーツアルトにプラハの 民族劇場(スタヴォフスケ劇場、英語ではエステート劇場)より新曲の委嘱がなされたのです。そしてこの新曲こそが「ドン・ジョヴァンニ」でした。勿論、台本は「フィガロの結婚」と同様ダ・ポンテが担当しました。

*ロレンツォ・ダ・ポンテ(Lorenzo Da Ponte, 1749- 1838)は、イタリアの詩人で台本作家。モーツァルトの3つのオペラの台本を書いたことで知られています

「ドン・ジョバンニ」は2幕からなくドラマ・ブッファです。

*歌劇「オペラ・セリア」=正歌劇、イタリア語からなり、1710ら1770年頃までヨーロッパで支配的、高貴かつシリアスな内容)「オペラ・ブッファ」=(18世紀前半にナポリで生まれ、イタリア語、市民的で、より身近な問題を取り扱うものでした)「ジングシュピール」=(ドイツ語による歌芝居や大衆演劇の一形式を指し、オペラ、またはオペレッタとも呼ばれます)この3つのジャンルが中心となっています

この歌劇は、ただのおもしろおかしい喜劇とは趣が異なり、悲喜こもごもおりまぜ人間性をついた場面を持つ名作です。劇中、数々の名歌を持つほか、序曲も独立して演奏される機会の多いことで有名です。

ドン・ジョバンニ

ドン・ジョバンニ


ただこの新曲「ドン・ジョヴァンニ」の準備は順調なものではなかったようです。特に1787年5月28日にモーツアルトの 父レオポルドがザルツブルグで 亡くなった(享年67歳)影響は大きいものでした。そのことものあり、序曲の作曲が完成したのは、初演(1787年10月29日、 スタヴォフスケ劇場)の間際であったとのことです。

*一般に数ある序曲の中でも最上のものとみなされている。彼が初演前夜のしかも稽古がすでに終わった後でペンをとっただけだった。その晩は11時ごろ自室にこもると妻に自分がうっかり寝込まないようにと、途方もない冒険話をしてもらう、などやっとのことで翌朝の7時までに書き終えた。また楽員たちは練習しないで演奏しなければならなかった。ある人々は、この序曲中には、モーツアルトが睡魔に襲われたに違いないと思われる部分や、彼がはっと目を覚まして書いたと思われる部分をはっきり認めることが出来ると主張している。(モーツアルト:スタンダール著)より

さて、筋書きは・・・17世紀、スペインのセビリアが舞台。女性を次々口説いては棄ててゆく、色男が、口説いた娘の父を決闘で殺してしまい、その父親の墓の石像の前で彼の幽霊に出会い、なんと自らの宴に招くという不適な行為をした結果、その石像が実際に現れ、ドン・ファンの手を取って地獄に引き摺り下ろす‥‥という内容。

19世紀・セビリア

19世紀・セビリア


余談ですが、このお芝居はとても人気があったようで、ヨーロッパ中で公演され、その後も何人もの人によって書き直されてもいます。
(参考までに)モリエール 喜劇 ドン・ジュアン 1665 / モーツァルト オペラ ドン・ジョバンニ 1787 / プーシキン 小説 石の客 1830 / リヒャルト・シュトラウス 交響詩 ドン・ファン 1889 / アポリネール 小説 若きドン・ジュアンの冒険 1911

他に呼び方ですが、スペイン語ではドン・ファンといい、フランスでは、ドン・ジュアン、イタリア語では、ドン・ジョバンニ などです。

ドン・ジュアンというタイトルから私の大好きな画家の作品から大変興味深い一枚を見つけましたので一緒にご紹介します。

詩人ジョージ・ゴードン・バイロン長編詩として残した作品に、ドン・ジュアン(ドン・ジョバンニ)を主題としたものがあります。スペイン、セビーリャの若き色男ドン・ジュアンが放蕩三昧で土地を追い出され、外国へと向かうために船に乗りますが、その船が難破してしまいます。さらに漂流の末に食糧も底を尽き、食物として搭乗者の犠牲となる物を決めるためのくじ引きをおこなっている場面なのだそうです。ドラクロワはこのロマン派主義のバイロンに強く傾倒を示していました。

ドラクロワ◇ドン・ジュアンの難破(ドン・ジュアンの難船)1840

ドラクロワ◇ドン・ジュアンの難破(ドン・ジュアンの難船)1840


モーツアルト◇ドンジョバンニ Don Giovanni K.527 
序曲


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*こちらのエッセイもどうぞお立ち寄りください音楽と絵画の部屋



私自身の演奏会については11月10日(土)ピアノコンサート~名曲の旅~も予定しています。

下記は最新動画です。シューマン◇アラベスク、どうぞお聞きください。 尚、現在youtubeには88曲載せています




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