93話:叙事詩「解放されたエルサレム」から [クラシック]
ヘンデル◇イタリア歌劇「リナルド」より~私を泣かせて下さい
ヘンデル、1685~1759 ドイツの作曲家、後にイギリスに帰化しました。バロック時代を代表する重要な作曲家であり、バッハと同年に生まれています。特にヘンデルはオペラ、オラトリオにおいては沢山の作品を残しています。
*オラトリオ=それはイタリアで始まったクラシック音楽の楽曲の種類であり、バロック時代の楽曲形式の一つです。オペラ(歌劇)に似ていますが、演技、大道具、小道具、衣装を用いません。独唱、合唱をオーケストラにより演奏され、歌詞に物語性、宗教性があり、全体的に叙事的です。
さてこのオペラが出来上がる経緯として、ヘンデルは1706年頃からイタリアを旅行していますた。その時にイタリアオペラというものを実際に鑑賞し、そのエッセンスを吸収することが出来た有意義な時期でもあったようです。また、ヘンデルがロンドンに帰って来て最初に初演したオペラでもあったようです。
この作品はトルクァート・タッソによる叙事詩「解放されたエルサレム」をもとに作られました。その内容は、キリスト教徒達の間の不和、後退、そして最終的な勝利を描いています。また、タッソの表現方法の最も特徴的なものとして、愛と義務の間で引き裂かれる登場人物たち、彼らが直面する感情的葛藤の描写、そして武勇や栄誉に反する愛、というもので私たちに大きな叙情的興奮をもたらしてくれます。
もう少し、歌劇の場面に近づいてみましょう。
魔女、アルミダは最強のキリスト教騎士リナルドを殺害しようとする。リナルドはベルトルドの息子であり、エステ家の創始者である。しかし、アルミダはリナルドと恋に落ちてしまい、彼を魔法の島へ連れ去り、彼女の妖術によって誘惑されそうになる。 二人のキリスト教騎士が、この秘密の砦を発見し、砦を守る障壁を乗り越え、リナルドにダイアモンドの鏡を与えて自身の女々しく愛に堕ちた状態を見せ、傷心のアルミダを残して戦場へ連れ戻す。そしてアルミーナの貞節によって救われるという物語です。
さてこの絵画はそんな元々は敵対関係のアルミダとリナルドがアルミダの宮殿でまさに骨抜きにされている場面です。 よく絵を見ますと左上に兵士達がリナルドを心配している様子が伺えますね。
カラッチ(1557-1602、バロック期イタリア画家)◇リナルドとアルミダ
もう一枚、同じシーンをご紹介します。絵の趣がかなり変わりますね。
ブーシェ(1703-1770 ロココ期フランス画家)◇リナルドとアルミダ
今日のアリアはこの「リナルド」第2幕に登場します。
敵(キリスト教騎士達)の魔術師アルミダに捕らわれ恋人(リナルド)を思って、アルミーナが自分の悲運を嘆くシーンで歌われます。別のタイトル「涙の流れるままに」とも表記されているものがあります。愛する人だけお思い、敵の王の誘いに屈しない、という歌でもあります。
ティエポロ(1696-1770ルネッサンス最後期イタリア)◇アルミダを捨てる兵士リナルド
~~ 歌詞和訳 ~~
過酷な運命に涙し、自由に憧れることをお許し下さい。
私の苦しみに対する憐れみだけによって
苦悩がこの鎖を打ちこわしてくれますように
ソプラノ:森 麻季
http://www.youtube.com/watch?v=dDnChUrpNoE&feature=related
kumikopiano インフォメーション
バッハ◇フランス組曲第6番より「サラバンド」 ピアノ:本間くみ子
他、55曲それぞれ演奏の一部をアップしています。
アルバム、演奏会のお問い合わせは k-honma@violet.plala.or.jp
ヘンデル、1685~1759 ドイツの作曲家、後にイギリスに帰化しました。バロック時代を代表する重要な作曲家であり、バッハと同年に生まれています。特にヘンデルはオペラ、オラトリオにおいては沢山の作品を残しています。
*オラトリオ=それはイタリアで始まったクラシック音楽の楽曲の種類であり、バロック時代の楽曲形式の一つです。オペラ(歌劇)に似ていますが、演技、大道具、小道具、衣装を用いません。独唱、合唱をオーケストラにより演奏され、歌詞に物語性、宗教性があり、全体的に叙事的です。
さてこのオペラが出来上がる経緯として、ヘンデルは1706年頃からイタリアを旅行していますた。その時にイタリアオペラというものを実際に鑑賞し、そのエッセンスを吸収することが出来た有意義な時期でもあったようです。また、ヘンデルがロンドンに帰って来て最初に初演したオペラでもあったようです。
この作品はトルクァート・タッソによる叙事詩「解放されたエルサレム」をもとに作られました。その内容は、キリスト教徒達の間の不和、後退、そして最終的な勝利を描いています。また、タッソの表現方法の最も特徴的なものとして、愛と義務の間で引き裂かれる登場人物たち、彼らが直面する感情的葛藤の描写、そして武勇や栄誉に反する愛、というもので私たちに大きな叙情的興奮をもたらしてくれます。
もう少し、歌劇の場面に近づいてみましょう。
魔女、アルミダは最強のキリスト教騎士リナルドを殺害しようとする。リナルドはベルトルドの息子であり、エステ家の創始者である。しかし、アルミダはリナルドと恋に落ちてしまい、彼を魔法の島へ連れ去り、彼女の妖術によって誘惑されそうになる。 二人のキリスト教騎士が、この秘密の砦を発見し、砦を守る障壁を乗り越え、リナルドにダイアモンドの鏡を与えて自身の女々しく愛に堕ちた状態を見せ、傷心のアルミダを残して戦場へ連れ戻す。そしてアルミーナの貞節によって救われるという物語です。
さてこの絵画はそんな元々は敵対関係のアルミダとリナルドがアルミダの宮殿でまさに骨抜きにされている場面です。 よく絵を見ますと左上に兵士達がリナルドを心配している様子が伺えますね。
カラッチ(1557-1602、バロック期イタリア画家)◇リナルドとアルミダ
もう一枚、同じシーンをご紹介します。絵の趣がかなり変わりますね。
ブーシェ(1703-1770 ロココ期フランス画家)◇リナルドとアルミダ
今日のアリアはこの「リナルド」第2幕に登場します。
敵(キリスト教騎士達)の魔術師アルミダに捕らわれ恋人(リナルド)を思って、アルミーナが自分の悲運を嘆くシーンで歌われます。別のタイトル「涙の流れるままに」とも表記されているものがあります。愛する人だけお思い、敵の王の誘いに屈しない、という歌でもあります。
ティエポロ(1696-1770ルネッサンス最後期イタリア)◇アルミダを捨てる兵士リナルド
~~ 歌詞和訳 ~~
過酷な運命に涙し、自由に憧れることをお許し下さい。
私の苦しみに対する憐れみだけによって
苦悩がこの鎖を打ちこわしてくれますように
ソプラノ:森 麻季
http://www.youtube.com/watch?v=dDnChUrpNoE&feature=related
kumikopiano インフォメーション
バッハ◇フランス組曲第6番より「サラバンド」 ピアノ:本間くみ子
他、55曲それぞれ演奏の一部をアップしています。
アルバム、演奏会のお問い合わせは k-honma@violet.plala.or.jp
92話:スケッチ「愛らしい小品」たち [クラシック]
前回に引き続き今回もシューマンの作品を取り上げてみたいと思います。私は歌曲と同じようにシューマンのピアノ曲も大変敬愛しています。特に好きな作品は「クライスレリアーナ」「幻想曲」そして今日ご紹介する「子供の情景」です。この3つの曲集はそれぞれをここ数年で必ず演奏したいと考えています。皆さんのお好きな曲は何がありますか?
シューマン◇「子供の情景」より トロイメライ
19世紀になると音楽と言葉のつながりが大変重要になりその結果世界各地で作品と演奏についての批評がとびかうようになりました。その中心人物であったのがこのシューマン。シューマンは「ライプツィッヒ音楽新報」という雑誌の編集長、かつ主要所有権者となりました。そのため後に「音楽新報」と改名され、「シューマンの雑誌」とも言われていました。シューマンは音楽的な先駆者であったバッハとベートーベンを常に模範としていたとの事。
後の1855年、リストがシューマンの活動に対して下記のように語っています。(シューマンはこの頃は亡くなる少し前、すでに精神の破綻が更に悪化して療養所生活を送っていました)
「シューマンは文学を音楽に近づけた。彼は実際にそのことを証明することができ、もっとも重要な音楽家であると同時に著述家でありえた。・・・・・シューマンは二つの国の住人だった。そして隔絶した地域の住人たちにある突破口を開きこれによって少なくとも個々の仲介者が互いに関心を交わすことができるようにした。・・・・・そうした種類の先駆者である。」リスト著作集より(1882年)
シューマンの交友関係はリストをはじめ、特に大きな存在であったのがショパンとメンデルスゾーンだったのです。同世代のピアニスト、音楽家同士どんな話をしてお互いを高めあっていたのでしょう。想像するだけでロマン派の香りに包み込まれます。ただこの二人はシューマンより先に亡くなってしまっています。さぞ親友の死は大きな影響をもたらしたことでしょう。
ルードヴィッヒ・クナウス(1820-1910)◇野原の少女
さて本題の「子供の情景」ですが1837年に作曲されました。全13曲の愛らしい曲集です。経緯としては1832年頃から後に妻となるクララとの結婚がクララの父親の反対、抵抗を受け(それはどんどんエスカレートして妨害、嫌がらせに近く最後は裁判までいきました)スムーズに運べず切迫した思いですごす中、それでもシューマンの作曲書法の進展を促すことになったとの事。この1837年代はピアノ曲を沢山書いていますが、それまでの作品は難解と批評された事に対して、この曲集は芸術性と親しみやすさが良いバランスで聞き手に分かりやすいと評判になりました。ただし、子供の学習用の作品とは違い「子供の心を描いた、大人のための作品」です。
中でもトロイメライはこの曲集の中心であり最も有名です。ドイツ語のトラウム=「夢」からの派生語で「夢見心地」という意味です。最初のモチーフのメロディーが少しずつ色を変えて何度も現れます。シューマンはこの曲を演奏するクララに対して「繊細に幸せに僕たちの未来のように」と語ったとの事です。
ピアノ:シュナーベル(開始後5分40秒あたりから「トロイメライ」です)http://www.youtube.com/watch?v=xdOF7U5pqbk&feature=related
kumikopiano インフォメーション
シューマン◇夕べに / 飛翔 演奏: ピアノ 本間くみ子
http://www.youtube.com/watch?v=OIYK6MBY0Zw
http://www.youtube.com/watch?v=S-WxDHR7LvY&feature=related
演奏会、アルバムについてのお問合せ k-honma@violet.plala.or.jp 本間まで
1月16日に行いましたニューイヤーコンサートは終了致しました。いらして下さった皆様、本当にありがとうございました
シューマン◇「子供の情景」より トロイメライ
19世紀になると音楽と言葉のつながりが大変重要になりその結果世界各地で作品と演奏についての批評がとびかうようになりました。その中心人物であったのがこのシューマン。シューマンは「ライプツィッヒ音楽新報」という雑誌の編集長、かつ主要所有権者となりました。そのため後に「音楽新報」と改名され、「シューマンの雑誌」とも言われていました。シューマンは音楽的な先駆者であったバッハとベートーベンを常に模範としていたとの事。
後の1855年、リストがシューマンの活動に対して下記のように語っています。(シューマンはこの頃は亡くなる少し前、すでに精神の破綻が更に悪化して療養所生活を送っていました)
「シューマンは文学を音楽に近づけた。彼は実際にそのことを証明することができ、もっとも重要な音楽家であると同時に著述家でありえた。・・・・・シューマンは二つの国の住人だった。そして隔絶した地域の住人たちにある突破口を開きこれによって少なくとも個々の仲介者が互いに関心を交わすことができるようにした。・・・・・そうした種類の先駆者である。」リスト著作集より(1882年)
シューマンの交友関係はリストをはじめ、特に大きな存在であったのがショパンとメンデルスゾーンだったのです。同世代のピアニスト、音楽家同士どんな話をしてお互いを高めあっていたのでしょう。想像するだけでロマン派の香りに包み込まれます。ただこの二人はシューマンより先に亡くなってしまっています。さぞ親友の死は大きな影響をもたらしたことでしょう。
ルードヴィッヒ・クナウス(1820-1910)◇野原の少女
さて本題の「子供の情景」ですが1837年に作曲されました。全13曲の愛らしい曲集です。経緯としては1832年頃から後に妻となるクララとの結婚がクララの父親の反対、抵抗を受け(それはどんどんエスカレートして妨害、嫌がらせに近く最後は裁判までいきました)スムーズに運べず切迫した思いですごす中、それでもシューマンの作曲書法の進展を促すことになったとの事。この1837年代はピアノ曲を沢山書いていますが、それまでの作品は難解と批評された事に対して、この曲集は芸術性と親しみやすさが良いバランスで聞き手に分かりやすいと評判になりました。ただし、子供の学習用の作品とは違い「子供の心を描いた、大人のための作品」です。
中でもトロイメライはこの曲集の中心であり最も有名です。ドイツ語のトラウム=「夢」からの派生語で「夢見心地」という意味です。最初のモチーフのメロディーが少しずつ色を変えて何度も現れます。シューマンはこの曲を演奏するクララに対して「繊細に幸せに僕たちの未来のように」と語ったとの事です。
ピアノ:シュナーベル(開始後5分40秒あたりから「トロイメライ」です)http://www.youtube.com/watch?v=xdOF7U5pqbk&feature=related
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シューマン◇夕べに / 飛翔 演奏: ピアノ 本間くみ子
http://www.youtube.com/watch?v=OIYK6MBY0Zw
http://www.youtube.com/watch?v=S-WxDHR7LvY&feature=related
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1月16日に行いましたニューイヤーコンサートは終了致しました。いらして下さった皆様、本当にありがとうございました
91話:ハイネの格言、あなたは何を思う [クラシック]
新年お喜び申し上げます。今年も音楽エッセイ、どうぞ宜しくお願い致します。私からのお年始の一枚はこちら。
カウルバッハ◇少女とうさぎ
Herman Kaulbach ヘルマン・カウルバッハ(1846-1909)は19世紀の後半に子供の生活をテーマにした油絵画家です。父はバイエルン宮廷画家ヴィルヘルムはゲーテやシェークスピアの挿入画家としても有名で、またリストが交響詩「フン族の戦い」を作曲するきっかけになった絵の作者としても知られているのだそうです。
シューマン◇詩人の恋 より「美しき五月に」
ロベルト・シューマン(Robert Schumann 1810-1856)はドイツの作曲家でありロマン派音楽を代表する一人でもあります。また、ショパンも同年に誕生していて後にショパンのワルツ5番を絶賛するなど親交もありました。
さて、本日の作品「詩人の恋」。1840年に作曲されたハイネの詩「歌の本」の中の「叙情的間奏曲」による全20篇のうちの16曲であり、シューマンの連作歌曲の一つです。シューベルトと継ぐ代表的ドイツ歌曲作家となったシューマンの最も有名なものですが、典型的なピアノ作曲家らしくピアノ伴奏にも表現力が豊かであるように思われます。
1840年、この時期はクララと結婚した年でもあり、本人が「歌の年」と呼んでいるように愛の喜びを託した歌曲をたくさんかいたのです。他に「女の愛と生涯」「ミルテの花」「リーダークライス」が最高傑作のひとつといわれています。
「詩人の恋」は第1曲から第6曲までは「愛の喜び」を、第7曲から第14曲は「失恋の痛み」を、そして最後の2曲は「青春の回想」を歌っています。今日お届けする第1曲「美しき五月に」は愛の始まりを告げる美しい曲です。ピアノの分散和音は心のときめきを表しているのでしょうか。ドイツの冬は長く、五月にならないと春は来ません。その間人々は春の到来を心待ちにしているのでしょうね。ほら、メンデルスゾーンの「春の歌」も思い出しましせんか・・
<美しき五月に>
素晴らしく美しい五月に あらゆるつぼみが開き 僕の心の中にも 愛が花咲いた
素晴らしく美しい五月に あらゆる鳥が歌いだし 僕は彼女に打ち明けた 僕の憧れ 僕の望みを
ジョーンズ◇春の訪れ
◇ハイネ◇(1797-1856)代表的ロマン主義文学者でありながらもドイツロマン派への批判精神を失わないのが特徴で、詩の中に盛り込まれた皮肉をシューマンがどれほど音楽的に表現することができたかについてドビュッシーにより議論の的にされている、との事。またハイネはシューマンと同じ年に亡くなっています。
~~ハイネの格言より~~
*恋に狂うとは言葉が重複している。恋とはすでに狂気なのだ。
*幸福とは浮気な娼婦である。いつも同じところにじっとはしていない。
フィッシャーディスカウ:Fischer-Dieskau http://www.youtube.com/watch?v=AwZFrb-mt8I&feature=BF&list=PL53D750FAD90FEF31&index=1
~~~~ kumikopiano インフォメーション ~~~~
ニューイヤーコンサートご案内です。ソプラノの歌をメインに二人のピアニストが伴奏、またそれぞれソロを演奏いたします。
今日のエッセイでお届けしました曲を含めミュージカルハイライトやドイツリート・オペレッタなどお楽しみ下さい。
~ ~ プ ロ グ ラ ム ~ ~
美しき5月に・春の夜(シューマン)~ すみれ・イドメネオより「穏やかな風よ」(モーツアルト)~素敵じゃないの?・踊り明かそう(マイフェアレディ)~星に願いを(ピノキオ)~虹の彼方に(オズの魔法使い)~サウンドオブミュージック・私の羊飼い(サウンドオブミュージック)~チムチムチェリー(メリーポピンズ)~あなたは私の心の皇帝(オペレッタ「お気に入りに家来」)~熱きくちびる(オペレッタ「ジュディッタ」)
ピアノソロ: ため息(リスト) 春の歌(メンデルスゾーン) 即興曲2番(シューベルト)
演奏会、アルバムお問い合わせ k-honma@violet.plala.or.jp
カウルバッハ◇少女とうさぎ
Herman Kaulbach ヘルマン・カウルバッハ(1846-1909)は19世紀の後半に子供の生活をテーマにした油絵画家です。父はバイエルン宮廷画家ヴィルヘルムはゲーテやシェークスピアの挿入画家としても有名で、またリストが交響詩「フン族の戦い」を作曲するきっかけになった絵の作者としても知られているのだそうです。
シューマン◇詩人の恋 より「美しき五月に」
ロベルト・シューマン(Robert Schumann 1810-1856)はドイツの作曲家でありロマン派音楽を代表する一人でもあります。また、ショパンも同年に誕生していて後にショパンのワルツ5番を絶賛するなど親交もありました。
さて、本日の作品「詩人の恋」。1840年に作曲されたハイネの詩「歌の本」の中の「叙情的間奏曲」による全20篇のうちの16曲であり、シューマンの連作歌曲の一つです。シューベルトと継ぐ代表的ドイツ歌曲作家となったシューマンの最も有名なものですが、典型的なピアノ作曲家らしくピアノ伴奏にも表現力が豊かであるように思われます。
1840年、この時期はクララと結婚した年でもあり、本人が「歌の年」と呼んでいるように愛の喜びを託した歌曲をたくさんかいたのです。他に「女の愛と生涯」「ミルテの花」「リーダークライス」が最高傑作のひとつといわれています。
「詩人の恋」は第1曲から第6曲までは「愛の喜び」を、第7曲から第14曲は「失恋の痛み」を、そして最後の2曲は「青春の回想」を歌っています。今日お届けする第1曲「美しき五月に」は愛の始まりを告げる美しい曲です。ピアノの分散和音は心のときめきを表しているのでしょうか。ドイツの冬は長く、五月にならないと春は来ません。その間人々は春の到来を心待ちにしているのでしょうね。ほら、メンデルスゾーンの「春の歌」も思い出しましせんか・・
<美しき五月に>
素晴らしく美しい五月に あらゆるつぼみが開き 僕の心の中にも 愛が花咲いた
素晴らしく美しい五月に あらゆる鳥が歌いだし 僕は彼女に打ち明けた 僕の憧れ 僕の望みを
ジョーンズ◇春の訪れ
◇ハイネ◇(1797-1856)代表的ロマン主義文学者でありながらもドイツロマン派への批判精神を失わないのが特徴で、詩の中に盛り込まれた皮肉をシューマンがどれほど音楽的に表現することができたかについてドビュッシーにより議論の的にされている、との事。またハイネはシューマンと同じ年に亡くなっています。
~~ハイネの格言より~~
*恋に狂うとは言葉が重複している。恋とはすでに狂気なのだ。
*幸福とは浮気な娼婦である。いつも同じところにじっとはしていない。
フィッシャーディスカウ:Fischer-Dieskau http://www.youtube.com/watch?v=AwZFrb-mt8I&feature=BF&list=PL53D750FAD90FEF31&index=1
~~~~ kumikopiano インフォメーション ~~~~
ニューイヤーコンサートご案内です。ソプラノの歌をメインに二人のピアニストが伴奏、またそれぞれソロを演奏いたします。
今日のエッセイでお届けしました曲を含めミュージカルハイライトやドイツリート・オペレッタなどお楽しみ下さい。
~ ~ プ ロ グ ラ ム ~ ~
美しき5月に・春の夜(シューマン)~ すみれ・イドメネオより「穏やかな風よ」(モーツアルト)~素敵じゃないの?・踊り明かそう(マイフェアレディ)~星に願いを(ピノキオ)~虹の彼方に(オズの魔法使い)~サウンドオブミュージック・私の羊飼い(サウンドオブミュージック)~チムチムチェリー(メリーポピンズ)~あなたは私の心の皇帝(オペレッタ「お気に入りに家来」)~熱きくちびる(オペレッタ「ジュディッタ」)
ピアノソロ: ため息(リスト) 春の歌(メンデルスゾーン) 即興曲2番(シューベルト)
演奏会、アルバムお問い合わせ k-honma@violet.plala.or.jp
90話:ペンネーム「Re]で送ったファンレターがきっかけで [クラシック]
今年になって始めたこの音楽エッセイもいつのまにか90話を迎える事になりました。読者のみなさん、本当にありがとうございました。また来年も同じようなスタイルで続けて参りますのでどうぞ宜しくお願いします。
今年最後のエッセイは、youtubeにアップしました自分自身の演奏、51曲の中から再生回数が特に多かったものの一つをご紹介します。
ラフマニノフ◇ヴォカリーズ
ラフマニノフ(1873-1943 ロシア)はロマン派、チャイコフスキー、リムスキー=コルサコフの影響を受けた作曲家であり、ピアニスト、指揮者の才能も発揮しました。
1912年に作られたこのヴォカリーズは名曲中の名曲、日本人にも人気の高い作品です。調べてみますと様々な背景とこの作品が生まれる経緯に興味が深まりました。
1895年、ラフマニノフはにシンフォニー1番を完成させましたが、2年後にグラズノフ指揮の初演では記録的な大失敗に終わったのです。その後数年間、失意の底にいたのですが、やがて1900年ごろから創作意欲を回復させます。2台ピアノ組曲第2番、ピアノコンチェルト第2番という2つの大作を完成させ、演奏会も大成功を収めます。またグリンカ賞を受賞して作曲家の名声を確立したのです。その後結婚しています。
1909年にスイスの画家ベックリンの作品「死の鳥」から着想を得た交響詩「死の鳥」を作曲、ピアノコンチェルト3番を作曲、自らピアニストとしてマーラー指揮のもと初演しました。
そして本題でもありますが、この頃女流文学者マリエッタ・シャギニャンとの文通をで意見を交わすようになります。きっかけは「Re」というペンネームで彼女がラフマニノフにファンレターを送った事だとか。そしてヴォカリーズの入った歌曲集は1912年に彼女が推薦したそれぞれの詩に作曲したもので「14のロマンス 作品34」または「14の歌曲 作品34」として生まれました。どの曲も当時活躍していたロシアの名歌手に献呈されました。終曲となるこの「ヴォカリーズ」は、ソプラノ歌手アントニーナ・ネジダーノヴァのために書かれた作品なのです。
クラムスコイ 1837-1887 ロシア◇髪をほどいた少女
クラムスコイというと「忘れえぬ女」がとても有名ですがこの作品も目にする方が多いのではないでしょうか。ロシア音楽に通じる切なさ、哀愁、そのような内面的なものがこの少女の表情にも描かれていますね。
ヴァオカリーズとは・・・・・フランス語で歌詞を伴わずに母音のみによって歌う歌唱法を指します。起源は18世紀半ばにさかのぼり、ベラールの曲集「歌の技芸」において、声楽技巧のための練習曲として当時の作曲家「リュリ」や「ラモー」の歌曲に掲載されたのが起こりでした。そのような練習曲は19世紀に飛躍を遂げて、ピアノ伴奏が付けられたりなど、その他「カプリチョ」のような機械的な練習曲にさえ演奏者の音楽をより芸術的に解釈出来るように目論まれたとの事です。
皆さんのご存知の作品ではピアノ曲になってしまいますが・・・ショパン、ラフマニノフ、リストなどの「エチュード」がありますね。エチュード=「練習曲」なのですがどれも音楽的な要素が多分に織り込まれ至難の業、演奏者泣かせです。しかしすべての音楽というものはやはり「歌」が原点ですからどんな難曲でもそこに「歌」が聞こえてこなくては面白くも何ともない、テクニックを披露するだけの無味簡素なものとなってしまうのです。そんなわけで、あ~私の修行はまだまだ続きます。
ヴォカリーズ:ソプラノ編http://www.youtube.com/watch?v=gERptKVcxTM&feature=related
ヴォカリーズ:フルート&ピアノ編 http://www.youtube.com/watch?v=Y0vKbRVPKAk
ヴォカリーズ:チェロ&ピアノ編 http://www.youtube.com/watch?v=oQ4iVZucKFA
~~~~~~~~~~~~ アルバムご紹介 ~~~~~~~~~~~~
録音スタジオ:ソフィアザールサロン
お問合わせ:k-honma@violet.plala.or.jp 本間 まで
リサイタル・ライブアルバム~Moonlight
2010年10月2日リサイタルのライブ録音 ¥1500
エルガー:愛の挨拶◇メンデルスゾーン:春の歌
ブラームス:間奏曲作品118-2 / カプリチオ
シューベルト:即興曲作品90-3◇バッハ:フランス組曲第6番
シューマン:夕べに / 飛翔◇ベートーベン:ソナタ「Moonlight(月光)」
アンコール~バッハ:主よ、人の望みのびを
ボーナストラック~ショパン:ノクターン第5番
「月光」より3楽章http://www.youtube.com/watch?v=bdWCgsYfUH4
今年最後のエッセイは、youtubeにアップしました自分自身の演奏、51曲の中から再生回数が特に多かったものの一つをご紹介します。
ラフマニノフ◇ヴォカリーズ
ラフマニノフ(1873-1943 ロシア)はロマン派、チャイコフスキー、リムスキー=コルサコフの影響を受けた作曲家であり、ピアニスト、指揮者の才能も発揮しました。
1912年に作られたこのヴォカリーズは名曲中の名曲、日本人にも人気の高い作品です。調べてみますと様々な背景とこの作品が生まれる経緯に興味が深まりました。
1895年、ラフマニノフはにシンフォニー1番を完成させましたが、2年後にグラズノフ指揮の初演では記録的な大失敗に終わったのです。その後数年間、失意の底にいたのですが、やがて1900年ごろから創作意欲を回復させます。2台ピアノ組曲第2番、ピアノコンチェルト第2番という2つの大作を完成させ、演奏会も大成功を収めます。またグリンカ賞を受賞して作曲家の名声を確立したのです。その後結婚しています。
1909年にスイスの画家ベックリンの作品「死の鳥」から着想を得た交響詩「死の鳥」を作曲、ピアノコンチェルト3番を作曲、自らピアニストとしてマーラー指揮のもと初演しました。
そして本題でもありますが、この頃女流文学者マリエッタ・シャギニャンとの文通をで意見を交わすようになります。きっかけは「Re」というペンネームで彼女がラフマニノフにファンレターを送った事だとか。そしてヴォカリーズの入った歌曲集は1912年に彼女が推薦したそれぞれの詩に作曲したもので「14のロマンス 作品34」または「14の歌曲 作品34」として生まれました。どの曲も当時活躍していたロシアの名歌手に献呈されました。終曲となるこの「ヴォカリーズ」は、ソプラノ歌手アントニーナ・ネジダーノヴァのために書かれた作品なのです。
クラムスコイ 1837-1887 ロシア◇髪をほどいた少女
クラムスコイというと「忘れえぬ女」がとても有名ですがこの作品も目にする方が多いのではないでしょうか。ロシア音楽に通じる切なさ、哀愁、そのような内面的なものがこの少女の表情にも描かれていますね。
ヴァオカリーズとは・・・・・フランス語で歌詞を伴わずに母音のみによって歌う歌唱法を指します。起源は18世紀半ばにさかのぼり、ベラールの曲集「歌の技芸」において、声楽技巧のための練習曲として当時の作曲家「リュリ」や「ラモー」の歌曲に掲載されたのが起こりでした。そのような練習曲は19世紀に飛躍を遂げて、ピアノ伴奏が付けられたりなど、その他「カプリチョ」のような機械的な練習曲にさえ演奏者の音楽をより芸術的に解釈出来るように目論まれたとの事です。
皆さんのご存知の作品ではピアノ曲になってしまいますが・・・ショパン、ラフマニノフ、リストなどの「エチュード」がありますね。エチュード=「練習曲」なのですがどれも音楽的な要素が多分に織り込まれ至難の業、演奏者泣かせです。しかしすべての音楽というものはやはり「歌」が原点ですからどんな難曲でもそこに「歌」が聞こえてこなくては面白くも何ともない、テクニックを披露するだけの無味簡素なものとなってしまうのです。そんなわけで、あ~私の修行はまだまだ続きます。
ヴォカリーズ:ソプラノ編http://www.youtube.com/watch?v=gERptKVcxTM&feature=related
ヴォカリーズ:フルート&ピアノ編 http://www.youtube.com/watch?v=Y0vKbRVPKAk
ヴォカリーズ:チェロ&ピアノ編 http://www.youtube.com/watch?v=oQ4iVZucKFA
~~~~~~~~~~~~ アルバムご紹介 ~~~~~~~~~~~~
録音スタジオ:ソフィアザールサロン
お問合わせ:k-honma@violet.plala.or.jp 本間 まで
リサイタル・ライブアルバム~Moonlight
2010年10月2日リサイタルのライブ録音 ¥1500
エルガー:愛の挨拶◇メンデルスゾーン:春の歌
ブラームス:間奏曲作品118-2 / カプリチオ
シューベルト:即興曲作品90-3◇バッハ:フランス組曲第6番
シューマン:夕べに / 飛翔◇ベートーベン:ソナタ「Moonlight(月光)」
アンコール~バッハ:主よ、人の望みのびを
ボーナストラック~ショパン:ノクターン第5番
「月光」より3楽章http://www.youtube.com/watch?v=bdWCgsYfUH4
89話:ジュリーアンドリュースと言えば [クラシック]
クリスマスシーズン到来、街はライティングが綺麗ですね。私からの贈り物はこちらの絵画
ホントホルスト◇羊飼いの礼拝 1622年
バロック画家、Honthorest ホントホルスト(1592-1656 オランダ)は光と影の描写を駆使し、劇的な空間を生み出しました。この絵においては救世主自身が光の源となり、周囲を柔らかく照らし出しています。ヨセフとマリアの慈愛に満ちた表情と羊飼いたちの喜びが、見ているこちらの気持ちを優しくさせるとは思いませんか。
ピアソラ◇アヴェマリア(編曲・演奏 本間くみ子)http://www.youtube.com/watch?v=gNZtUK_0ULQ
~~~ ~~~ ~~~
サウンドオブミュージックより「サウンドオブミュージック」
今日は少し趣を変えましてミュージカルからです。ご紹介するこのミュージカルを知らない、という方はいらっしゃらないのではないかしら・・というくらい、有名な作品ですね。中でも劇中歌、「ドレミの歌」「エーデルワイス」は学校で必ず歌われたはず。
アメリカ映画「トラップ・ファミリー合唱団物語」の前編に基づくものだそうです。第二次世界大戦を背景とする混乱の中、勇敢に生きる女性を描いたこの作品は実話に基づき私も心を打たれたひとりです。
1954年、中込純次訳ドイツ映画「菩提樹」が出版されましたが、アメリカ映画としてこの「サウンドミュージック」がヒットすると1967年に中込氏により同じタイトルで改題されました。
もう少し詳しく知りたい方はこちらのストーリーをご覧下さい。http://www.shiki.gr.jp/applause/sound/about/story.html
シャンバーニュ◇1662年の奉納画
今日の一枚~フィリップ・ド・シャンバーニュ Philippe de Champaigne 1602-1674 フランス古典主義時代に活躍した画家。正式な名称は「女子修道院長アトリーヌ・アニュス・アルノーと画家(シャンパーニュ)の娘の修道女カトリーヌ・ド・サンド・スザンヌ」。スザンヌが難病に陥り絶望視される中、アルノーが9日間祈祷した完治したという奇跡に父シャンパーニュが感謝し院へ献上した作品です。
勇気・信じる心は奇跡を生む、いつの世でもある事、私たちも失いたくない信念ですね。
動画でご紹介する曲「サウンドオブミュージック」はマリアが自然のすばらしさを歌に託して歌います。映画では、アルプスの山々の遠景から、丘の上でこの曲を歌うマリアへズームしていく有名なオープニング・シーンとなっています。ジュリーアンドリュースと言えばメリーポピンズでも有名です。
歌:Julie Andrews ジュリーアンドリュース http://www.youtube.com/watch?v=Za0gA-4LszU
~~~ kumikopiano インフォメーション ~~~
演奏会のご案内です
<ソフィアザールサロン・ニューイアーガラコンサート>
2011.1.16(日)ソフィアザールサロン(駒込)
開演14時30分(50席、要予約)
入場料¥2500
<プログラム>
美しき5月に・春の夜(シューマン)~ すみれ・イドメネオより「穏やかな風よ」(モーツアルト)~素敵じゃないの?・踊り明かそう(マイフェアレディ)~星に願いを(ピノキオ)~虹の彼方に(オズの魔法使い)~サウンドオブミュージック・私の羊飼い(サウンドオブミュージック)~チムチムチェリー(メリーポピンズ)~あなたは私の心の皇帝(オペレッタ「お気に入りに家来」)~熱きくちびる(オペレッタ「ジュディッタ」)
ピアノソロ : ため息(リスト) 春の歌(メンデルスゾーン) 即興曲2番(シューベルト)
演奏会、アルバムお問い合わせk-honma@violet.plala.or.jp
ホントホルスト◇羊飼いの礼拝 1622年
バロック画家、Honthorest ホントホルスト(1592-1656 オランダ)は光と影の描写を駆使し、劇的な空間を生み出しました。この絵においては救世主自身が光の源となり、周囲を柔らかく照らし出しています。ヨセフとマリアの慈愛に満ちた表情と羊飼いたちの喜びが、見ているこちらの気持ちを優しくさせるとは思いませんか。
ピアソラ◇アヴェマリア(編曲・演奏 本間くみ子)http://www.youtube.com/watch?v=gNZtUK_0ULQ
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サウンドオブミュージックより「サウンドオブミュージック」
今日は少し趣を変えましてミュージカルからです。ご紹介するこのミュージカルを知らない、という方はいらっしゃらないのではないかしら・・というくらい、有名な作品ですね。中でも劇中歌、「ドレミの歌」「エーデルワイス」は学校で必ず歌われたはず。
アメリカ映画「トラップ・ファミリー合唱団物語」の前編に基づくものだそうです。第二次世界大戦を背景とする混乱の中、勇敢に生きる女性を描いたこの作品は実話に基づき私も心を打たれたひとりです。
1954年、中込純次訳ドイツ映画「菩提樹」が出版されましたが、アメリカ映画としてこの「サウンドミュージック」がヒットすると1967年に中込氏により同じタイトルで改題されました。
もう少し詳しく知りたい方はこちらのストーリーをご覧下さい。http://www.shiki.gr.jp/applause/sound/about/story.html
シャンバーニュ◇1662年の奉納画
今日の一枚~フィリップ・ド・シャンバーニュ Philippe de Champaigne 1602-1674 フランス古典主義時代に活躍した画家。正式な名称は「女子修道院長アトリーヌ・アニュス・アルノーと画家(シャンパーニュ)の娘の修道女カトリーヌ・ド・サンド・スザンヌ」。スザンヌが難病に陥り絶望視される中、アルノーが9日間祈祷した完治したという奇跡に父シャンパーニュが感謝し院へ献上した作品です。
勇気・信じる心は奇跡を生む、いつの世でもある事、私たちも失いたくない信念ですね。
動画でご紹介する曲「サウンドオブミュージック」はマリアが自然のすばらしさを歌に託して歌います。映画では、アルプスの山々の遠景から、丘の上でこの曲を歌うマリアへズームしていく有名なオープニング・シーンとなっています。ジュリーアンドリュースと言えばメリーポピンズでも有名です。
歌:Julie Andrews ジュリーアンドリュース http://www.youtube.com/watch?v=Za0gA-4LszU
~~~ kumikopiano インフォメーション ~~~
演奏会のご案内です
<ソフィアザールサロン・ニューイアーガラコンサート>
2011.1.16(日)ソフィアザールサロン(駒込)
開演14時30分(50席、要予約)
入場料¥2500
<プログラム>
美しき5月に・春の夜(シューマン)~ すみれ・イドメネオより「穏やかな風よ」(モーツアルト)~素敵じゃないの?・踊り明かそう(マイフェアレディ)~星に願いを(ピノキオ)~虹の彼方に(オズの魔法使い)~サウンドオブミュージック・私の羊飼い(サウンドオブミュージック)~チムチムチェリー(メリーポピンズ)~あなたは私の心の皇帝(オペレッタ「お気に入りに家来」)~熱きくちびる(オペレッタ「ジュディッタ」)
ピアノソロ : ため息(リスト) 春の歌(メンデルスゾーン) 即興曲2番(シューベルト)
演奏会、アルバムお問い合わせk-honma@violet.plala.or.jp
88話:メンコン [クラシック]
メンデルスゾーン◇ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64
今日は前回に引き続き、4大ヴァイオリン協奏曲のひとつをご紹介します。
この曲は1844年に作曲されたヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲です。穏やかな情緒とバランスのとれた形式、そして何より美しい旋律で、音楽家として仕事の面でも充実、多忙の中作り上げたこの曲は、メンデルスゾーンのみならずドイツ・ロマン派音楽を代表する作品です。
室内オーケストラを指揮する少年メンデルスゾーン
メンデルスゾーンの才能や偉業については(タイトル:永遠の3重奏団)こちらに書いてありますのでどうぞご覧下さい。http://plaza.rakuten.co.jp/kumikopiano/diary/201005030000/
さて、この曲を作る前のメンデルスゾーンは1841年(32歳)の頃、ブロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世に招かれ、ベルリンの宮廷礼拝堂楽長に就任しています。
また、1843年、34歳の時は自ら奔走して設立資金を集め、ライプツッヒ音楽院を開校し、院長となります。作曲とピアノの教授にはロベルト・シューマンが招聘されていました。このライプツッヒ音楽院とはドイツで最初の重要な音楽大学であり、初代院長にはメンデルスゾーンが就任し、1901年に日本は滝廉太郎が留学しています。1992年には演劇学部を開設して拡張し、現在はおよそ900人の学生が在籍しているのです。
音楽家の多くは個性が強すぎで中々他の人とうまく付き合う事が苦手というイメージがありますがメンデルスゾーンのように才能、家庭環境、富に恵まれ人間的にも信頼されるような芸術家も時々出現しますね。またメンデルスゾーンの功績からも西洋音楽の歴史とは計り知れない深さを改めて知る思いでもあります。
指揮:フルトヴェングラー 演奏:ベルリンフィル ヴァイオリン:メニューインhttp://www.youtube.com/watch?v=tum96sG2UkU&feature=related
~~~~~ kumikopiano インフォメーションコーナー ~~~~~~
メンコンではありませんが、丁度メンデルスゾーンの作品でメントリ=メンデルスゾーン:ピアノトリオが含まれていますコンサートのご案内です。このメンバーは今年前半に同サロンにおいて チャイコフスキー:偉大なる芸術家の思い出 を演奏し多くの観客を魅了しました。メントリの他、ショスタコービッチとモーツアルトのピアノトリオという贅沢なプログラミングになっています。
会場:ソフィアザールサロン(駒込)12月11日(土)2時半開演 http://www.sam.hi-ho.ne.jp/happyendoh/top.files/info.files/info1012.htm
<ソフィアザールサロン・ニューイアーガラコンサート>
2011.1.16(日)ソフィアザールサロン(駒込)
開演14時30分(50席、要予約)
入場料¥2500 詳細はプロフィールをご覧下さい
演奏会、アルバム、ライブ録音についてのお問い合わせはこちらまで
k-honma@violet.plala.or.jp
kumikopianon youtube~42曲アップしています http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum
今回はライブ録音よりご紹介です
ピアノ ラフマニノフ◇プレリュード より
演奏会、アルバム、ライブ録音についてはの問い合メッセージまたはこちらまで k-honma@violet.plala.or.jp まで (プロフィールにそれぞれのアルバム曲目や音源をご紹介しています)
今日は前回に引き続き、4大ヴァイオリン協奏曲のひとつをご紹介します。
この曲は1844年に作曲されたヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲です。穏やかな情緒とバランスのとれた形式、そして何より美しい旋律で、音楽家として仕事の面でも充実、多忙の中作り上げたこの曲は、メンデルスゾーンのみならずドイツ・ロマン派音楽を代表する作品です。
室内オーケストラを指揮する少年メンデルスゾーン
メンデルスゾーンの才能や偉業については(タイトル:永遠の3重奏団)こちらに書いてありますのでどうぞご覧下さい。http://plaza.rakuten.co.jp/kumikopiano/diary/201005030000/
さて、この曲を作る前のメンデルスゾーンは1841年(32歳)の頃、ブロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世に招かれ、ベルリンの宮廷礼拝堂楽長に就任しています。
また、1843年、34歳の時は自ら奔走して設立資金を集め、ライプツッヒ音楽院を開校し、院長となります。作曲とピアノの教授にはロベルト・シューマンが招聘されていました。このライプツッヒ音楽院とはドイツで最初の重要な音楽大学であり、初代院長にはメンデルスゾーンが就任し、1901年に日本は滝廉太郎が留学しています。1992年には演劇学部を開設して拡張し、現在はおよそ900人の学生が在籍しているのです。
音楽家の多くは個性が強すぎで中々他の人とうまく付き合う事が苦手というイメージがありますがメンデルスゾーンのように才能、家庭環境、富に恵まれ人間的にも信頼されるような芸術家も時々出現しますね。またメンデルスゾーンの功績からも西洋音楽の歴史とは計り知れない深さを改めて知る思いでもあります。
指揮:フルトヴェングラー 演奏:ベルリンフィル ヴァイオリン:メニューインhttp://www.youtube.com/watch?v=tum96sG2UkU&feature=related
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メンコンではありませんが、丁度メンデルスゾーンの作品でメントリ=メンデルスゾーン:ピアノトリオが含まれていますコンサートのご案内です。このメンバーは今年前半に同サロンにおいて チャイコフスキー:偉大なる芸術家の思い出 を演奏し多くの観客を魅了しました。メントリの他、ショスタコービッチとモーツアルトのピアノトリオという贅沢なプログラミングになっています。
会場:ソフィアザールサロン(駒込)12月11日(土)2時半開演 http://www.sam.hi-ho.ne.jp/happyendoh/top.files/info.files/info1012.htm
<ソフィアザールサロン・ニューイアーガラコンサート>
2011.1.16(日)ソフィアザールサロン(駒込)
開演14時30分(50席、要予約)
入場料¥2500 詳細はプロフィールをご覧下さい
演奏会、アルバム、ライブ録音についてのお問い合わせはこちらまで
k-honma@violet.plala.or.jp
kumikopianon youtube~42曲アップしています http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum
今回はライブ録音よりご紹介です
ピアノ ラフマニノフ◇プレリュード より
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87話:4大バイオリン協奏曲と言えば [クラシック]
前回のエッセイでグリンカをご紹介しました。そんな真のロシア的音楽を作り上げた人、それを受け継いだ5人組も重要ではありますが、今日はチャイコフスキーの代表的な作品からのご紹介です。
チャイコフスキー◇バイオリン協奏曲二長調作品35
Tchikovskyチャイコフスキーは1840年~1893年、ロシアの作曲家
チャイコフスキーと言えばバレエ音楽を真っ先に思い浮かべる方も多いでしょう。このヴァイオリン協奏曲二長調 作品35は、1878年に作曲されました。ベートーベン、メンデルスゾーン、ブラームスのいわゆる3大ヴァイオリン協奏曲に本作を加えて4大ヴァイオリン協奏曲と称されています。また、ベートーベンやブラームスと同様にチャイコフスキーも本作1作しかヴァイオリン協奏曲を作曲しておらず、そのいずれもがニ長調で書かれていることも共通しています。
さて、この曲の背景としては1877年にアントニナ・イワノヴナと結婚しました。しかしこの結婚は大きな失敗であり、チャイコフスキーはモスクワ川で自殺を図るほど精神的に追い詰められました。それでもそんな中で有名なバレエ「白鳥の湖」完成、オペラ「エフゲニー・オネーギン」を完成しています。
そのころのチャイコフスキーを精神的に支えたのはナジェージダ・フォン・メック夫人(1831-1894)でした。メック夫人は、鉄道で富を築いた夫に先立たれ、夫の死後、優雅な暮らしを送っていて、弟子のニコライ・ルビンシテイン(1835-1881)を通して、1877年にチャイコフスキーと知り合い、文通だけの類まれな関係は13年間も続いたそうです。
フォン・メック夫人
ルービンシュタインと言えば・・・「偉大なる芸術家の思い出」ですね。なるほど、そういう経緯があったのですか・・
翌1878年4月にはヴァイオリニストで友人のコテックが訪ねてきて一緒に滞在しています。本作はこの間の1ヶ月ほどの間に集中的に書き上げられました。
ロシア画家:コンスタンチン・ユーオン◇3月の太陽 1915年
この曲を聞くと映画「オーケストラ」を思い浮かべる方も少なくないことでしょう。素晴らしい内容の映画ですね。今日はその映画の予告編も添付しました。チャイコフスキー自身の人生を大きく変えるような背景と苦しみの中で生まれた傑作、映画の主人公も波乱万丈な人生の中での名演、改めてじっくりと鑑賞したいと思います。
ヴァイオリン:諏訪内晶子http://www.youtube.com/watch?v=rnzRuJ12V5s&feature=related
映画「オーケストラ」予告編 http://www.youtube.com/watch?v=jyxtWUsvBBM
~~~~~ kumikopiano インフォメーション コーナー ~~~~~
<ソフィアザールサロン・ニューイアーガラコンサート>
2011.1.16(日)ソフィアザールサロン(駒込)
開演14時30分(50席、要予約)
入場料¥2500
演奏会、アルバム、ライブ録音についてはの問い合メッセージまた下記まで
k-honma@violet.plala.or.jp まで
(プロフィールに詳細のっています)
宜しくお願い致します~
kumikopianon youtube~42曲アップしています
http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum#g/u
今回はライブ録音よりご紹介です
チェロ&ピアノ ラフマニノフ◇ヴォカリーズ より
チャイコフスキー◇バイオリン協奏曲二長調作品35
Tchikovskyチャイコフスキーは1840年~1893年、ロシアの作曲家
チャイコフスキーと言えばバレエ音楽を真っ先に思い浮かべる方も多いでしょう。このヴァイオリン協奏曲二長調 作品35は、1878年に作曲されました。ベートーベン、メンデルスゾーン、ブラームスのいわゆる3大ヴァイオリン協奏曲に本作を加えて4大ヴァイオリン協奏曲と称されています。また、ベートーベンやブラームスと同様にチャイコフスキーも本作1作しかヴァイオリン協奏曲を作曲しておらず、そのいずれもがニ長調で書かれていることも共通しています。
さて、この曲の背景としては1877年にアントニナ・イワノヴナと結婚しました。しかしこの結婚は大きな失敗であり、チャイコフスキーはモスクワ川で自殺を図るほど精神的に追い詰められました。それでもそんな中で有名なバレエ「白鳥の湖」完成、オペラ「エフゲニー・オネーギン」を完成しています。
そのころのチャイコフスキーを精神的に支えたのはナジェージダ・フォン・メック夫人(1831-1894)でした。メック夫人は、鉄道で富を築いた夫に先立たれ、夫の死後、優雅な暮らしを送っていて、弟子のニコライ・ルビンシテイン(1835-1881)を通して、1877年にチャイコフスキーと知り合い、文通だけの類まれな関係は13年間も続いたそうです。
フォン・メック夫人
ルービンシュタインと言えば・・・「偉大なる芸術家の思い出」ですね。なるほど、そういう経緯があったのですか・・
翌1878年4月にはヴァイオリニストで友人のコテックが訪ねてきて一緒に滞在しています。本作はこの間の1ヶ月ほどの間に集中的に書き上げられました。
ロシア画家:コンスタンチン・ユーオン◇3月の太陽 1915年
この曲を聞くと映画「オーケストラ」を思い浮かべる方も少なくないことでしょう。素晴らしい内容の映画ですね。今日はその映画の予告編も添付しました。チャイコフスキー自身の人生を大きく変えるような背景と苦しみの中で生まれた傑作、映画の主人公も波乱万丈な人生の中での名演、改めてじっくりと鑑賞したいと思います。
ヴァイオリン:諏訪内晶子http://www.youtube.com/watch?v=rnzRuJ12V5s&feature=related
映画「オーケストラ」予告編 http://www.youtube.com/watch?v=jyxtWUsvBBM
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<ソフィアザールサロン・ニューイアーガラコンサート>
2011.1.16(日)ソフィアザールサロン(駒込)
開演14時30分(50席、要予約)
入場料¥2500
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宜しくお願い致します~
kumikopianon youtube~42曲アップしています
http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum#g/u
今回はライブ録音よりご紹介です
チェロ&ピアノ ラフマニノフ◇ヴォカリーズ より
86話:近代ロシア音楽の父 [クラシック]
先日ピアニストの友人に頼んでいた楽譜がようやく私の手元に届きました。すると気の利く彼女は他にも素敵な譜面を忍ばせてくれていたのです。
それは偶然にも私が前から気になっていた作品の一つでした。彼女にその話をしたこともなかったのに。。。散りばめられている音達を眺めているうちに是非ともレパートリーの1曲に出来るようにしたいと改めて思いました。
そんなわけで今日ご紹介するピアノ作品はこちらです。
グリンカ◇ひばり:バラキレフ編
ミハイル・イヴァーノヴィチ・グリンカ( Glinka、1804-1857)ウクライナ系。
グリンカは富裕な地主の家庭に生まれ、子ども時代から音楽に興味を持っていました。少年のころに体験した祖国戦争と農奴オーケストラが演奏する民謡の編曲が、成長してからの彼の音楽に影響を与えたといわれています。経済的に恵まれていた彼は若いうちからピアノ、ヴァイオリン、声楽、指揮、そして作曲を熱心に学習することが出来ました。しかし、音楽教育はごくわずかしか受けておらず、同胞の作曲家よりは、むしろプーシキンら当時の詩人や画家などと交遊していました。やがてはイタリアなどの多くの諸外国で勉強する機会を得、芸術的に進んだ西欧の文化を吸収することができたのです。しかし外国を回るうちに、徐々に彼のロシア人としてのアイデンティティが芽生え、ロシア的な作品を書きたいという願いが起きてくるようになりました。
初めて真のロシア的音楽をつくったといわれるグリンカの作品は、ロシアのその後の作曲界にも重要な影響を与えており、とりわけ有名なのが「ロシア5人組」(バラキレフ・キュイ・ムソルグスキー・リムスキーコルサコフ・ボロディン)です。このグループはグリンカの指導力を受け入れて、はっきりとロシア的な特質のあるクラシック音楽を創造しました。
今日お届けします作品は、グリンカの歌曲集「ペテルスブルグよさようなら」の中の1曲ですが、単独で歌われることの方が多い有名な曲です。東方のロマンスとも言われています。私的にはチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」を思い出させるような、ロシアの大地に歌われる民謡の調べを思い起こさせる美しい旋律ではないでしょうか。音楽標語、Gromche、Gromche(朗々と、朗々と)の部分で明るく転調し、後半は希望に満ちて音楽が展開していうあたりが大変聞き所と思います。そしてやはり何と言いましても、ひばりの鳴き声を模したと思われるピアノのフレーズはバラキレフのセンスに脱帽です。
Balakirev,M.A. 題名: L' Alouette (=The Lark):
バラキレフ1837-1910:ロシア五人組の統率者として有名。
キーシンの演奏でも有名ですが、私の好みはこちらの女性。http://www.youtube.com/watch?v=nBJv7SKZnic&feature=related
kumikopiano インフォメーション コーナー
演奏会、アルバム、ライブ録音についてのお問い合わせ k-honma@violet.plala.or.jp まで
また、プロフィールのページに詳細が載っていますのでご覧下さい。
チェロ&ピアノ コンサートライブ録音~モリコーネ◇ニューシネマパラダイスより(アレンジ本間くみ子)
youtubeでも一部お聴きになれます
http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum
どうぞ宜しくお願い致します
それは偶然にも私が前から気になっていた作品の一つでした。彼女にその話をしたこともなかったのに。。。散りばめられている音達を眺めているうちに是非ともレパートリーの1曲に出来るようにしたいと改めて思いました。
そんなわけで今日ご紹介するピアノ作品はこちらです。
グリンカ◇ひばり:バラキレフ編
ミハイル・イヴァーノヴィチ・グリンカ( Glinka、1804-1857)ウクライナ系。
グリンカは富裕な地主の家庭に生まれ、子ども時代から音楽に興味を持っていました。少年のころに体験した祖国戦争と農奴オーケストラが演奏する民謡の編曲が、成長してからの彼の音楽に影響を与えたといわれています。経済的に恵まれていた彼は若いうちからピアノ、ヴァイオリン、声楽、指揮、そして作曲を熱心に学習することが出来ました。しかし、音楽教育はごくわずかしか受けておらず、同胞の作曲家よりは、むしろプーシキンら当時の詩人や画家などと交遊していました。やがてはイタリアなどの多くの諸外国で勉強する機会を得、芸術的に進んだ西欧の文化を吸収することができたのです。しかし外国を回るうちに、徐々に彼のロシア人としてのアイデンティティが芽生え、ロシア的な作品を書きたいという願いが起きてくるようになりました。
初めて真のロシア的音楽をつくったといわれるグリンカの作品は、ロシアのその後の作曲界にも重要な影響を与えており、とりわけ有名なのが「ロシア5人組」(バラキレフ・キュイ・ムソルグスキー・リムスキーコルサコフ・ボロディン)です。このグループはグリンカの指導力を受け入れて、はっきりとロシア的な特質のあるクラシック音楽を創造しました。
今日お届けします作品は、グリンカの歌曲集「ペテルスブルグよさようなら」の中の1曲ですが、単独で歌われることの方が多い有名な曲です。東方のロマンスとも言われています。私的にはチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」を思い出させるような、ロシアの大地に歌われる民謡の調べを思い起こさせる美しい旋律ではないでしょうか。音楽標語、Gromche、Gromche(朗々と、朗々と)の部分で明るく転調し、後半は希望に満ちて音楽が展開していうあたりが大変聞き所と思います。そしてやはり何と言いましても、ひばりの鳴き声を模したと思われるピアノのフレーズはバラキレフのセンスに脱帽です。
Balakirev,M.A. 題名: L' Alouette (=The Lark):
バラキレフ1837-1910:ロシア五人組の統率者として有名。
キーシンの演奏でも有名ですが、私の好みはこちらの女性。http://www.youtube.com/watch?v=nBJv7SKZnic&feature=related
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また、プロフィールのページに詳細が載っていますのでご覧下さい。
チェロ&ピアノ コンサートライブ録音~モリコーネ◇ニューシネマパラダイスより(アレンジ本間くみ子)
youtubeでも一部お聴きになれます
http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum
どうぞ宜しくお願い致します
85話:古典派とロマン派の架け橋となった音楽家とは [クラシック]
前回のエッセイ、ブラームスはベートーベンを崇拝していたとの事ですが、この方は違ったようです。
それにしても今日の作品、私もまた是非アンサンブルをしたい曲の一つでもあります。
フランツ・ペーター・シューベルト(Franz Peter Schubert, 1797-1828)は、オーストリアの作曲家。各分野に名曲を残していますが、とりわけドイツ歌曲において功績が大きく、「歌曲の王」と呼ばれています。
1822年ににウェーバー、そしてベートーヴェンと知りあいましたが、両者ともにほとんど親しい関係になりませんでした。実はシューベルトは幼い頃からハイドン、モーツアルトの弦楽四重奏を家族で演奏し親しみがある事からも、愛した作曲家はモーツァルト、ハイドンだったようです。1816年6月14日、モーツァルトの音楽を聴いた日の日記でシューベルトはモーツァルトをこれ以上無いほど賞賛しています。またザルツブルグへの旅行時、聖ペーター教会のミヒャエル・ハイドンの記念碑を訪れ、感動と共に涙を流したという日記も残されているとの事。
シューベルトは一般的にロマン派の枠に入れられていますが、その音楽、人生はウィーン古典派の強い影響下にあり、記譜法、基本的な作曲法も古典派に属しています。また、「貴族社会の作曲家」から「市民社会の作曲家」へという点ではロマン派的でありますが、音楽史的には古典派とロマン派の「橋渡し的位置」にあります。
今日の一枚:シューベルトの初恋の人・・1814年(17歳)、ミサ曲第1番を書き上げリヒテンタールの協会で演奏されました。そのときソプラノのソロを歌ったのが彼女です。3歳年下でした。最終的に結婚にまで至らなく1820年、テレーゼはパン職人と結婚しました。
オットー・ノヴァーク◇シューベルトと婚約者テレーゼ
アルペジョーネとピアノのためのソナタ イ短調 D.821は11月にウィーンで作曲したアレグロ・モデラート、アダージョ、アレグレットの3楽章からなる室内楽曲です。このソナタは、アルペジョーネという楽器のための作品として書かれましたが、その楽器はあまり発達せず、現在はそれに代わるチェロで演奏されています。
この「アルペジョーネ・ソナタ」は、「弦楽四重奏<死と乙女>」と同時期の作品であり、当時シューベルトは梅毒の進亢に苛まれ、度々の抑鬱症の発作に見舞われてもいました。おそらくそのためか、楽曲は全般的に暗澹たる表情に支配されている、と書かれていますが定説では最後は腸チフス、水銀中毒で亡くなったという事です。
1楽章の出だしはとても有名ですね。何とも言えないピアノの物悲しいフレーズから始まるこの曲ですがどこかいつも軽快さも備わっていてシューベルトらしい切り替えを感じます。2楽章はまさに歌曲のような長いフレーです。
http://www.youtube.com/watch?v=Q3BYNsw1vT8&feature=related
kumikopiano インフォメーションコーナー
◇ セカンドアルバム「La Plus Que Lente 」~レントより遅く~
エルガー:愛の挨拶・メンデルスゾーン:春の歌・シューべルト:即興曲作品90-3・モーツアルト:幻想曲二短調・ベートベン:月光1楽章・バッハ:主よ、人の望みの喜びを/フランス組曲6番・シューマン:夕べに/飛翔・ショパン:夜想曲「遺作」・ドビュッシー:月の光/レントより遅く・ラベル:高雅で感傷的なワルツ7番・フォーレ:夜想曲2番・他
収録全15曲65分 ¥1500 好評発売中
問い合わせ k-honma@violet.plala.or.jp
youtubeでも一部お聴きになれます
http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum#g/u
ドビュッシー◇レントより遅く
どうぞ宜しくお願い致します
それにしても今日の作品、私もまた是非アンサンブルをしたい曲の一つでもあります。
シューベルト◇アルペジョーネとピアノのためのソナタ イ短調 D.821
フランツ・ペーター・シューベルト(Franz Peter Schubert, 1797-1828)は、オーストリアの作曲家。各分野に名曲を残していますが、とりわけドイツ歌曲において功績が大きく、「歌曲の王」と呼ばれています。
1822年ににウェーバー、そしてベートーヴェンと知りあいましたが、両者ともにほとんど親しい関係になりませんでした。実はシューベルトは幼い頃からハイドン、モーツアルトの弦楽四重奏を家族で演奏し親しみがある事からも、愛した作曲家はモーツァルト、ハイドンだったようです。1816年6月14日、モーツァルトの音楽を聴いた日の日記でシューベルトはモーツァルトをこれ以上無いほど賞賛しています。またザルツブルグへの旅行時、聖ペーター教会のミヒャエル・ハイドンの記念碑を訪れ、感動と共に涙を流したという日記も残されているとの事。
シューベルトは一般的にロマン派の枠に入れられていますが、その音楽、人生はウィーン古典派の強い影響下にあり、記譜法、基本的な作曲法も古典派に属しています。また、「貴族社会の作曲家」から「市民社会の作曲家」へという点ではロマン派的でありますが、音楽史的には古典派とロマン派の「橋渡し的位置」にあります。
今日の一枚:シューベルトの初恋の人・・1814年(17歳)、ミサ曲第1番を書き上げリヒテンタールの協会で演奏されました。そのときソプラノのソロを歌ったのが彼女です。3歳年下でした。最終的に結婚にまで至らなく1820年、テレーゼはパン職人と結婚しました。
オットー・ノヴァーク◇シューベルトと婚約者テレーゼ
アルペジョーネとピアノのためのソナタ イ短調 D.821は11月にウィーンで作曲したアレグロ・モデラート、アダージョ、アレグレットの3楽章からなる室内楽曲です。このソナタは、アルペジョーネという楽器のための作品として書かれましたが、その楽器はあまり発達せず、現在はそれに代わるチェロで演奏されています。
この「アルペジョーネ・ソナタ」は、「弦楽四重奏<死と乙女>」と同時期の作品であり、当時シューベルトは梅毒の進亢に苛まれ、度々の抑鬱症の発作に見舞われてもいました。おそらくそのためか、楽曲は全般的に暗澹たる表情に支配されている、と書かれていますが定説では最後は腸チフス、水銀中毒で亡くなったという事です。
1楽章の出だしはとても有名ですね。何とも言えないピアノの物悲しいフレーズから始まるこの曲ですがどこかいつも軽快さも備わっていてシューベルトらしい切り替えを感じます。2楽章はまさに歌曲のような長いフレーです。
http://www.youtube.com/watch?v=Q3BYNsw1vT8&feature=related
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◇ セカンドアルバム「La Plus Que Lente 」~レントより遅く~
エルガー:愛の挨拶・メンデルスゾーン:春の歌・シューべルト:即興曲作品90-3・モーツアルト:幻想曲二短調・ベートベン:月光1楽章・バッハ:主よ、人の望みの喜びを/フランス組曲6番・シューマン:夕べに/飛翔・ショパン:夜想曲「遺作」・ドビュッシー:月の光/レントより遅く・ラベル:高雅で感傷的なワルツ7番・フォーレ:夜想曲2番・他
収録全15曲65分 ¥1500 好評発売中
問い合わせ k-honma@violet.plala.or.jp
youtubeでも一部お聴きになれます
http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum#g/u
ドビュッシー◇レントより遅く
どうぞ宜しくお願い致します
84話:光と翳、すべての想いを捧げた名曲 [クラシック]
前回のエッセイはベートーベンの作品からでした。そして今日はそのベートーベンに強い影響を受けたブラームスの作品からご紹介したいと思います。
ブラームス◇ピアノのための6つの小品op118-2
ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897)は、19世紀ドイツの作曲家、ピアニスト、指揮者です。バッハ、ベートーヴェンと共にドイツ音楽に於ける「三大B」と称される一人であります。(Bとは頭文字の事ですよ)ハンブルクに生まれ、ウィーンに没しました。作風はロマン派音楽の中に位置しますが、古典主義的な形式美を尊重する傾向も強いようです。多くの人々は、ブラームスをベートーヴェンの後継者として取り扱っています。
ブラームス自身は大部分のロマン派の作曲家と同様に、ベートーヴェンを崇拝していました。また、モーツアルトとハイドンを敬愛していました。非常に古典派を愛していたことが、彼の書いたソナタ、シンフォニーやコンチェルトで分かるようにその形式を採用しています。それもあり、ブラームスは全てのロマン派の作曲家の中では最も古典派に近いと考えられていて、「新古典派」という呼称で呼ばれることもあります。
今日ご紹介するのは『ピアノのための6つの小品』(Sechs Stücke für Klavier)作品118。これは1893年に完成したブラームスのピアノ小品集です。ブラームスの存命中に出版された、最後から2番目の作品であり、またロマンスで有名なクララ・シューマンに献呈されています。
シューマンの妻、クララ・シューマン
今日はその中から第2番の「間奏曲 イ長調」をお届けします。ピアニストによってテンポ感がかなり違うのも聴きところです。晴れ間が決して来ない曇り空よう、憂鬱なベールの中に見え隠れする激しい感情と溢れるロマンがブラームス特有のスタイルですね。60歳の時に作曲されたこの曲ですが、穏やかな哀愁に満ちたメロディーの中にも、若き日の憧れや苦悩などを回想するかのような強い情念を感じさせ、深い感動を残します。
実は私の大好きな曲の一つになりました。先日のリサイタルでプログラムの1曲として演奏致しました。感情を込めて弾くというよりも、むしろ弾いているうちにその時の自分の様々な気持ち、感情が湧き上がるような気がします。本当に素晴らしい作品。次のアルバムに是非入れたいです。そして大切なレパートリーの1曲としてこれからも大切に温めていきます。
ポゴレリッチ:Ivo Pogorelich Brahms Intermezzo Op. 118 No. 2 http://www.youtube.com/watch?v=uFhlIhdNGjg&feature=related
ケンプ:Kempff - Brahms Intermezzo op.118 no.2 in A http://www.youtube.com/watch?v=5tdJ1NFMYQI&feature=related
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先日の10月2日第2回ピアノリサイタル<ドイツ音楽の系譜による調べ>は無事終了致しました。お越し頂きました皆様には深くお礼申し上げます。ありがとうございました。
youtube : ドビュッシー◇レントより遅く 他
http://www.youtube.com/user/kumikopianon?feature=mhum#g/u
ブラームス◇ピアノのための6つの小品op118-2
ヨハネス・ブラームス(Johannes Brahms, 1833-1897)は、19世紀ドイツの作曲家、ピアニスト、指揮者です。バッハ、ベートーヴェンと共にドイツ音楽に於ける「三大B」と称される一人であります。(Bとは頭文字の事ですよ)ハンブルクに生まれ、ウィーンに没しました。作風はロマン派音楽の中に位置しますが、古典主義的な形式美を尊重する傾向も強いようです。多くの人々は、ブラームスをベートーヴェンの後継者として取り扱っています。
ブラームス自身は大部分のロマン派の作曲家と同様に、ベートーヴェンを崇拝していました。また、モーツアルトとハイドンを敬愛していました。非常に古典派を愛していたことが、彼の書いたソナタ、シンフォニーやコンチェルトで分かるようにその形式を採用しています。それもあり、ブラームスは全てのロマン派の作曲家の中では最も古典派に近いと考えられていて、「新古典派」という呼称で呼ばれることもあります。
今日ご紹介するのは『ピアノのための6つの小品』(Sechs Stücke für Klavier)作品118。これは1893年に完成したブラームスのピアノ小品集です。ブラームスの存命中に出版された、最後から2番目の作品であり、またロマンスで有名なクララ・シューマンに献呈されています。
シューマンの妻、クララ・シューマン
今日はその中から第2番の「間奏曲 イ長調」をお届けします。ピアニストによってテンポ感がかなり違うのも聴きところです。晴れ間が決して来ない曇り空よう、憂鬱なベールの中に見え隠れする激しい感情と溢れるロマンがブラームス特有のスタイルですね。60歳の時に作曲されたこの曲ですが、穏やかな哀愁に満ちたメロディーの中にも、若き日の憧れや苦悩などを回想するかのような強い情念を感じさせ、深い感動を残します。
実は私の大好きな曲の一つになりました。先日のリサイタルでプログラムの1曲として演奏致しました。感情を込めて弾くというよりも、むしろ弾いているうちにその時の自分の様々な気持ち、感情が湧き上がるような気がします。本当に素晴らしい作品。次のアルバムに是非入れたいです。そして大切なレパートリーの1曲としてこれからも大切に温めていきます。
ポゴレリッチ:Ivo Pogorelich Brahms Intermezzo Op. 118 No. 2 http://www.youtube.com/watch?v=uFhlIhdNGjg&feature=related
ケンプ:Kempff - Brahms Intermezzo op.118 no.2 in A http://www.youtube.com/watch?v=5tdJ1NFMYQI&feature=related
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先日の10月2日第2回ピアノリサイタル<ドイツ音楽の系譜による調べ>は無事終了致しました。お越し頂きました皆様には深くお礼申し上げます。ありがとうございました。
youtube : ドビュッシー◇レントより遅く 他
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